キューバ、そしてヘミングウェイ、お薦め映画



ヘミングウエイの本は大昔に読んだきりで忘れてしまったし、彼の人生についても何も知らない。十代の頃に読んだけど、あまり感銘を受けなかったのだと思う。同じころに読んだテネシー・ウィリアムズは、ヘミングウエイとほぼ同時期に活躍したアメリカ人作家だけど、私は彼の方に強烈に惹かれて今でも小説を繰り返し読み続けている。


ヘミングウエイの方は、ヨーロッパで戦争に拘わり、その後はフロリダのキー・ウエストやキューバで釣りをしながら夜な夜な酒を飲み、楽しくやっている有名作家、というイメージしかなかった。

最近になって、ヘミングウエイの家系は、本人を含めて親族計7人が精神疾患による自殺で人生を終えた悲劇の血族だったということを知った。

それで少しばかり興味を持ち、ここ数日間不調でベッドに倒れている間、彼に関する映画でも見てみようと思って選んだ作品がとてもよかったので紹介したいと思う。



映画「パパ:ヘミングウェイの真実」

「パパ:ヘミングウェイの真実」



ヘミングウエイという作家やその作品、キューバに興味がない人には退屈で訳の分からない話だと思うけれど、少しでも興味がある人には、絶対お薦めの映画。

実話だそうだ。

2015年の作品で、アマゾンで放映している「スニーキー・ピート」でも大活躍のジョヴァンニ・リビシが主人公。とてもいい味を出している。


 

プライム会員は無料で視聴!どきどきしてしまう犯罪ドラマで、こちらもお薦め。私は1シーズンしか見てないけれど。。

「パパ:ヘミングウェイの真実」のあらすじ

ネタばれすることなく簡単に書くと、大恐慌時代に親に捨てられて孤児院で育ったエディは、ヘミングウェイの本を読みながら育ち、新聞記者になることができた。

当時、キューバの私邸で釣りを楽しみながら隠居生活を送っていたヘミングウェイは、エディからのファンレターを読んで彼をキューバに呼び寄せ、彼のメンターになってゆく。

1950年後半、革命を前にしたキューバに暮らす彼の、望んだものとは違う形になってゆく生活や夫婦仲、ダークシークレットや筆が進まない苦悩をエディは垣間見ることになるが、それでもヘミングウエイは真のメンターであり、大切なことを教わり続ける。


感想やレビュー


ただし、レビューはそれほど良くもないように見える。エンターテイメント性を期待してたのにガッカリ。。という声もある。たしかに、つまらないのかもしれない。でも万人受けする映画の方が苦手という私のような人は、きっとこの作品の良さを共感できるはず!

ちなみに、アマゾンの映画の写真はそれなりにカッコよくて、なにやら事件を期待させる内容だけど、



アメリカ版はこうですから。。笑


こっちの方がイメージ的に正しいので、それでも見たい!という人にお薦め(笑)

ハバナの旧市街地でフロリディータやアンボス ムンドを訪れた私は「あ、あの場所だ!」と心が躍ったけど、当時の様子をできるだけ真似たと思われる設定が想像と違っていたので驚いた。


フィンカ・ビヒア・ヘミングウェイ博物館

この映画は実際にキューバで撮影されている。1959年の革命後、初めてキューバで撮影されたハリウッド映画だそうだ。

また、映画に出てくるヘミングウエイの私邸、フィンカ・ビヒアも1939年から1960年に彼が実際に生活した場所。撮影の許可が下りた貴重な映画でもある。彼はここで、「老人と海」そして「誰がために鐘は鳴る」を書きあげた。
後者はハバナ旧市街のアンボスムンドホテルで書かれたとも言われている。詳細は私には分からない。







フィンカ・ビヒア・ヘミングウェイ博物館
ハバナ旧市街からクルマで30分ほど離れた場所




人生の痛み、人間関係


様々な心の苦しみを抱えた晩年のヘミングウェイ。酒を浴びるように飲むし、思うように筆もはかどらない。妻はすぐにヒステリーを起こす。性的不能になってしまって人生に楽しみもない。

若い人がみたらウンザリするような苦悩がオンパレードで(笑)私だって若いときに見てたら拒否反応を起こしただろう。

だけど色々な人たちと関わり合いながら生きていると、彼と似た人たちと知り合うこともある。私も、映画の中のヘミングウエイを見ながら、過去に出会った、才能があるのに孤独で、色々と苦しみもがいている男たちを思い出して、すごく感慨深いものがあった。だからこそ、映画や小説は、年齢を重ねてから読むと感想が違ってくる。

しかしヘミングウエイは、今では鬱病という診断を下されて、しかも親族計7人が精神疾患による自殺をしたとある。これは天性的な気質だったのだろうか?

同じく孤独なエディが言う。

Physical pain is nothing compared to the pain of a lost bond.

肉体的な痛みなんて、絆が失われたときの痛みに比べたら、なんでもない。

この映画は人間の孤独さに光を当てているため、痛みを理解しているか、それを想像できるひとでないと共感することはできないと思う。

ヘミングウェイの妻

この映画に描かれるヘミングウエイの4人目の妻は、ヒステリー女である。ヘミングウエイは彼女を愛していたに違いないけれど、彼女の醜い部分ばかり描かれていて、ちょっと気の毒にはなった。
だけど、最初の奥さんを忘れられないんでしょという言葉を聞いたときに、ぐさりと刺ささるものがあった。妻として、そんな苦しみがあるだろうか?

彼女のことは、ヘミングウェイの言葉にもちらりと出てきて、苦悩の一つになっていることが分かる。

それで気になって調べたらこんな本があった。




二番目の妻と出会う前に、いっそ死んでしまえばよかった

なんと衝撃的な言葉!
これを目にした瞬間に、涙が滲みそうになった。
この言葉が、すべてを物語っていると言える。

実際に彼の言葉なのかどうか、私は読んでないのか知らないが、残念ながら今は中古本しかないようなので、キンドル版が出るのを待ちながら英語版を読もうと思う。



ちなみに!日本語版キンドルとアメリカ版キンドルを(アプリでも)持ってる方!同じ内容なのに、日本のキンドルで買う方が、かなり安いです。480円前後。不思議ですね。私もさっそく買いました。

この方のブログ記事の最後の部分を読んでみてください。
この本の引用が書いてあるのですが、とても切ないです。


「ヘミングウェイの妻」を読む。
二葉亭餓鬼録


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