子供を心配しすぎると。。



いつものように6時に起きて息子のお弁当を作り、二人で車に乗り込んで、近所のスタバのドライブスルーに寄った。すでに列ができている。


学年末になり朝から色々とテストがある。トリプルショットのキャラメルカプチーノで気合を入れたいらしい。大切なテストの日は、そんなふうに、スタバに立ち寄る習慣ができてしまった。

電車やバスがないし、自転車通学は自殺行為に等しいので私が高校の送迎をしているが、2週間後に長い夏休みに入ると私の日々のスケジュールも崩れてしまう。それも残念だなぁ、と思いながら学校に到着。

車から降りるとき、試験がんばってね、と声をかけると、顔を輝かすようにして、I'm so excited!と言うので、驚いた。
試験だからワクワクするなんて。私にはない発想だ。

それから、スタバのドリンクもありがとう!

そう言って、彼は去った。

息子は毎日、ささいなことに対して、ちゃんと感謝をしてくれる。私は、そんな言葉が聞けることに、ちょっと感謝をしてしまう。こうした人生体験ができることが、ありがたくてたまらない。子供から学ぶことがとても多い。

私が子供に対して願うのは、心身共に健康で、幸せな気分でいて欲しいこと。嫌なことがあったり、挫折したときに、自分を信じる強さがあること。人生ゲームをうまく進んでゆく知識もいっぱい身につけて欲しい。

私は、日々、前向きになっている子供の邪魔をしないように過ごしている。

初めてこのコンセプトを聞いたとき、放任主義ではないのかと思った。ゲームをし続けていても注意しないとか、何かに夢中で親に返事をしなくても、その集中力をよしとするとか。エイブラハムの子育て論を動画で聞きながら、少し不安を抱いたものだ。

でも、自分なりに理解して、納得し、実行しはじめると、すぐに効果が見え始めた。一時期、心配するほどゲーム漬けになっていた子供が、違うことに興味を持ち始めた。

数年後になった今は分かる。それは、無責任な放任主義なんかではない。子供を信じること。心配しすぎないこと。否定的な目で見ないこと。自分の価値観を押し付けないこと。そのうえで、無条件に愛していると、子供は自分の内なる声を聞きはじめる。それは、本当のことだった。








息子が小学校のときに親友だったE君が、今は引きこもりになっている。

以前は成績優秀、性格もよく、スポーツ万能、ハンサムで、みんなに人気のある子供だった。それが、中学、高校と虐めに合って、今は軽いパニック障害を引き起こしている。

毎日、自宅でゲームをして、もう、高校には戻らないそうだ。
中学高校と離れてしまったので、息子たちは友達ではないが、私はE君のママとずっと繋がっている。

数年ぶりに、息子たちを引き合わせてみようということで、息子と一緒に彼らの家を訪れた。

息子たちは、気まずい思いをすることもなくすぐに打ち解けて、数年間の空白な時間などなかったかのように喋りはじめた。そのうちにE君がそわそわしはじめて、息子を自分の部屋に引き入れた。

E君のママがのぞいてみると、2人でゲームを楽しんでいた。E君はかなりゲーム中毒なのかもしれない。

食事のときは2人とも部屋を出てきてテーブルについた。E君は、小学生の頃に私達の家に遊びに来て、私が作った料理がおいしかったことなどを話してくれた。小さな頃とまったく変わらず、穏やかな雰囲気で、とっても好青年に育っていた。

デザートを食べると、すぐに2人はE君の部屋に戻って行った。
E君のママはそわそわして、何度も彼らの様子を伺ったり、プールで遊ぶかもしれないと温水を確かめたり、そんなことをしていた。

まるで10年近く前に、まだ小学生だった彼らが遊んでいる姿を見守ってる姿が、そのまま、そこにあった。

彼女は、自分より背の高くなった息子のことがいつも心配でたまらないのだ。

E君は5歳くらいのときから、精神医のもとに通っていた。裕福な家では、特に問題はなくても、セラピストに通わせて悩みを相談させることは珍しくはない。ちゃんとした免許と学位を持った高額な精神医だ。E君はお姉さんにいじめられていたので、母親が彼の精神状態をとても心配していた。

E君はそんなに小さなころから、自分はどう感じるべきなのか、姉とトラブルになったら、どんなふうに対処すべきなのかを、セラピストに教わって育ってきた。

その頃から、医者にも頻繁に通っていた。父親が医者なので、人気の医者にすぐ予約が取れることもあり、彼女は内科だの耳鼻科だのなんだのとE君を連れまわしては、検査させる。

悪いところは見つからなくても、そのうちにE君の具合が悪くなってくると、ここぞとばかりに投薬する。私が覚えている限り、E君の医者通いは毎年ずっとずっと続いている。

ここ1年間ほど、かなり具合が悪くなった。誰が見てもストレス性のものなのだけど、やはり検査に連れまわれて、いろんな治療を受けていた。

だけど、イジメがあった学校から転校したり、新しい学校に転入したりする、といった重要事項は、E君の意思が尊重される。

自分で決めなさい、と親は言う。

お金ならあるんだから、どんなに高い私立でもいいし、この街の学校じゃなくてもいい。行きたい学校を選んで!あなたが決めるのよ。

E君には分からない。自分で決めることには不慣れなのだ。高校に戻りたくないということは分かってるが、その先のことは分からない。

彼の母親と私は、考え方が全然違う。彼女がトラブルに直面したら、真っ先に行くのはセラピストと弁護士という、私には縁のない場所だ。
一方で、私が彼女に宇宙の法則なんたらという話をしたら、やばい奴と思われるのは確かだ(笑)。

彼女はそうやって、IQの高さと経済力を駆使して、見事なほどにさっさと問題を解決してゆくし、私の方は見えない力や愛に助けられて、自然に
問題が解決される。私達はもう何年間も親友であって、互いのやり方をジャッジすることもない。

E君は、きっと、立ち直れると思う。大学に行かなければダメということでもないし、ゲームを極めることができれば、そこに将来性も出てくるかもしれない。明日になったら何かが変わっているかもしれない。そうであってほしいと思う。息子たちが、また昔のように仲良くなってくれたら、とも思う。


E君の自宅からの帰り道、車の後部座席に座った息子が、ポツリと私に向かって言った。

医者に連れまわしたり、セラピストのもとに通わせたりしないでくれて、ありがとう。


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